9月3日に女川港での秋刀魚初水揚げがあり、いよいよ女川の秋が始まりました。
初水揚げの様子を取材に来ていたテレビカメラや新聞記者もいて、やはり女川の秋刀魚は今年も注目されているようです。
東日本大震災前、女川は秋刀魚の水揚げが本州一でした。
そのため、「さんまの町・女川」として知られ、あがいんストアにも秋刀魚を使った商品がたくさん並んでいます。
「秋刀魚の水揚げが本州一」の女川ですが、その秋刀魚は、実は北海道の海で獲れたものなんです。
そもそも、「水揚げ」っていう言葉の意味を、私はきちんと理解していませんでした…。
女川の魚市場を初めて見学させていただいたとき、
「水揚げっていうのは、獲ってきた魚をどこかの港に揚げることを言うんだよ」
と教えていただきました。
「漁船の漁師たちは、一番高く売れそうな港に水揚げするんだけど、
北海道の秋刀魚漁船は、一番高く売れる女川の港に水揚げするんだ。」
そうだったんですね。
女川に来て、初めて知りました!
水揚げ=その港近海で獲った
ということだと勘違いしていました。
ではなぜ、女川で秋刀魚が高く売れて、女川が「さんまの町」になったのでしょうか?
先日、「さんまのヤマホン」で知られる、ヤマホンベイフーズの山本丈晴社長とお話しする機会があったので、聞いてきました!
まっちゃん=
山本社長=
「女川町はなぜさんまの町として知られているのでしょう。」
「宮城県だけは特色があってね。
岩手県は宮古、釜石、大船渡、いろいろ漁港はあるけど、同じ時期には同じ魚が揚がってくるんだよ。秋刀魚も揚がるし、秋鮭も揚がるし、サバも揚がるし。
ところが宮城県はね、特殊な県なんだよ。というのは、塩釜はマグロ日本一。気仙沼はカツオ日本一。それから石巻は巻網船とか北転船が有名。それから女川は秋刀魚でしょ。
宮城県はね、港によって水揚げされる魚が分かれちゃうんだ。だから、塩釜は秋刀魚をやりたくても秋刀魚船は一隻も入らない。女川でマグロやりたいって言ってもマグロ船は来ない。
だからもう、船は秋刀魚であれば女川へ、マグロであれば塩釜へ、殆どが分かれていくんだ。」
「なんでそういうふうに分かれて行ったのでしょう?」
「うーん、その歴史はどうなのかな。必然的に、要は加工屋の力関係もあると思うんですよ。
女川を例にとれば、秋刀魚に力を入れているメーカーがたくさんいたっていう。」
「秋刀魚の加工屋が集まってきたということですか?」
「集まったっていうか、最初は違うと思うんですよ。
ただ、秋刀魚に力を入れようと思ったメーカーが、その当時、徐々に増えて行ったと思うんですよ。秋刀魚で有名になる前、女川はカツオが日本で二位だったんですけど、カツオ漁船の景気が悪くなっていって、次第にうちみたいに秋刀魚を主体にしようとするところが増えていった。そうすると、おのずと女川の秋刀魚の値段が高くなるから、女川にいいものが集まるようになってきて、本州一位になった。」
「私も女川に来て初めて知ったんですけど、女川が秋刀魚の水揚げ日本一って、女川で秋刀魚を獲っているのではなくて、女川に揚げてるから日本一なんですよね。」
「そう。不思議な話なんだけどね、秋刀魚船の大型船で、女川船籍の船って一隻もないんですよ。」
「それはやはり北海道とかで獲ったのが来てるということですか?」
「そう、漁期前半は北海道沖で獲ってきているんだ。
最初カツオが日本で二位ってことは、女川船籍のカツオ船、つまり、カツオの会社が女川にたくさんあったから女川にみんな地元に持ってくるわけですよ。だから日本で二位だったんだよね。
だから秋刀魚も本当は、北海道船籍の根室船団とか、福島船籍のいわき船団、富山船籍の富山船団、千葉船籍の銚子船団など、他の地域の船籍の船団がたくさんあるんだけど、秋刀魚に関しては、品物に自信のある多くの船が地元に行かずに女川に来たからいい相場を形成していくようになり、次第に女川が本州一なっていったんだよ。
普通は北海道なら北海道で、各々自分の地元の近くの港で水揚げしていた。しかしそうではなくて、秋刀魚が女川に集中したっていうのは、秋刀魚が特に回遊魚ということもあるが、女川に来るといいものであれば他の港よりも高く売れるからなんだ。」
「加工する場所があるからですか?」
「そうそう、そうなんだよ。
そういう中で、原料が十分にあるんで、秋刀魚を主体に加工品の開発を少しずつしてこうということで、始まったのかな。
シーズンによって水揚げのある時期ない時期があるじゃないですか。そういう時期でも、うちもシーズン中にたくさん仕入れておいて、秋刀魚の冷凍の在庫があるから、一年中さんまの黒酢煮やさんまのすり身などを提供できるんですよ。」
「なるほど、よくわかりました!どうして北海道からわざわざ女川においしい秋刀魚を持ってくるのか、ずっと気になっていたことが解決しました^^ありがとうございました!!」
ということで、実は女川の町の魚はカツオなのですが、秋刀魚の水揚げ本州一になった経緯はそういうことだったのですね。
女川が秋刀魚の水揚げ本州一だっただけではなく、女川には質の良い秋刀魚が集まってきていたんですね。どうりで、おいしいはずです!
ところで、あがいんストアでご注文いただいた方に納品書と一緒にこっそり入れている女川の地域情報ミニ新聞「うみねこタイムズ」のvol.26(2014年8月15日発行分)に、女川の須田町長が北海道出張へいらっしゃった記事が載っていました。
毎年恒例の、根室船団への漁船誘致活動のためだそうです。
町長の公務にこのような活動もあるんだ、とふむふむ読みながら発送準備をしておりました。笑
「ヤマホンセット」 |
「さんまのすり身食べ比べセット 女川汁レシピ付き」 |