こんにちは!まっちゃんです。
みなさん、ホタテの養殖が、女川は県内で一位の生産量だってご存知でした?
シリーズ化しようと思って、秋刀魚のインタビュー以降1年以上空いてしまいました。。
のコーナーです。
以前、女川の帆立王「岡清」の岡明彦専務にインタビューした内容をご紹介します!
まっちゃん=
岡専務=
「女川の帆立は身が大きいですよね。」
「身が大きいのは宮城県全体に言えることなんですけど、女川に関して言うと、貝柱が大きいんですよ。
貝柱が大きいのと、甘みがあるんです。
で、女川がなんでそうかって言うと、1本に吊る帆立の枚数と、養殖間隔が違うんですよ。
畑でいうと、畝と畝の間を広くとって、キャベツとキャベツの間も広くしてるんです。
海でいうと、帆立と帆立の間隔をとって、獲れる数は少ない代わりに、大きくて甘みのある貝柱を育ててるってことですね。
いかだに重りをつけて、いかだからロープに吊るした帆立を垂らすんですよ。帆立のミミっていうところに穴を開けて、いかだに吊るす、ミミ釣り養殖っていう方法なんですね。 で、こういういかだに吊るす養殖を垂下養殖って言います。 このときに、垂らしているロープとロープの間隔を、女川は通常より空けてるんです。 いっぱい付けた方が、このいかだ1台から獲れる量ってもちろん多くなるんですけど、 それじゃあ良いものができないよっていうことで、女川では垂らす帆立の数を減らす代わりに、間隔を空けて、1つの帆立が十分な栄養を取って大きな貝柱が育つようにしているんです。」 |
「へぇ~、そうなんですね!」
「プラス、帆立のエサになるプランクトンが一番多いのって、海の深さで10mより上なんですよ。
で、帆立ロープを長くした方がいっぱい帆立は獲れるんですけど、
100枚同じロープに吊るのと、200枚吊るのだと、200枚の方が単純にロープが長くなる。
1本のロープに200枚の帆立でも育たないことはない。ただ、実入りが悪くなったり、下の方の帆立はエサ量が少ないので、帆立特有のグリコーゲンの量が少なくなる。
だから女川の帆立っていうのはある程度吊るすロープの長さにもこだわりがあるんです。」
「そうなんですね。本当に農業と同じ感覚ですね、今のお話。
農家の方もやっぱりこだわって、収量ではなくて品質を上げるために、手間と、あとは効率が悪くてもそれぞれの品種に合った肥料を配合した方が、やっぱりいいものができるというのと、まったく同じ考え方ですね。」
「そうですね、過密養殖、密殖っていうんですけど、
例えばトマトとトマトの苗の間が近かったら間引きますよね。
それと同じ感覚で考えてるんです。
もちろん、県内の他の養殖漁師も同様の方法をとっているところもあるんですけど、うちで扱っている女川の養殖漁師はみんなそうなんですよ。
あとは潮の流れも重要で、1か所の養殖場にいかだが何十台もありますから、
なんていうか、良い潮の流れのところに、良い方向で置くわけですよ。」
「へぇ~、そういうポイントがあるんですね。」
「帆立がエサを取りやすいように。
だから、養殖漁師は帆立の気持ちになって考えてですね。
まぁ、あの、帆立から生まれてきたような人って結構いるんですよ。
帆立の説明させると、『あなた、帆立ですか?』みたいな人が。笑
俺なんかその先生方に教えられてるだけですから。
自分が養殖してるわけじゃないので、その養殖してる皆さんが、そうやって俺にこう一生懸命喋ってくれるんですよ。
で、こういう生産者って、例えばその初代からお付き合いがあるような生産者で、
私がこのままいくと岡清の社長になって3代目っていう格好になりますけど、生産者も3代目。
そういう長いお付き合いをさせていただいていて、
最初は機械がなかったんで、それをどうにかしようと、今より結構大変でしたよとか、
最初の頃は密殖やっちゃったよとか、ここまで来るまでに随分いろいろ失敗、経験を経て今があるという話も代々伺ってるわけです。」
「岡専務はいつ実家を継ごうと思われたんですか?」
「そうですね、なんか、小さい頃から思ってたんでしょうね。
って言ったらかっこいいですけどね。笑
いやでもですね、本当に保育所、小学校くらいから、市場の競りは今の社長について行って、
魚を一緒に運んだりとか。その競りを見てるのもちょっとおもしろかったんですよ。
で、今一般の方が市場に行って競り見ても、何言ってるかわからないと思うんですけど、
俺は小さい頃からちゃんと理解してましたから。」
「すごいですね!教えてもらったりとかですか?」
「そう、『あれ何て言ってるの?』って聞いたり、手のサインとかもあるんですけど、
『あの人がいくらって出してる』とか、『いくらで落とした』とか、そういうのは小学校低学年くらいでわかってましたね。」
「へぇ~。英才教育ですね。笑」
「エリートです。笑
それで、デビューと同時に競りはすぐ入りましたから。」
「それはすごいですね!」
そんな目利きの英才教育を受けた漁師や水産加工業者たちと、
良いものを作るために代々試行錯誤してきたプライドの養殖漁師たちが、
“女川のおいしい魚”を守っているんですね。